企業がリストラを進める際に、退職勧告が行き過ぎて不当な行為を重ねてしまうケースも多いようです。
企業と従業員がその是非について争う場合は、最終的には訴訟に持ち込むしかありません。
しかし、相互の協議により歩みよりの余地がある場合は、企業側が非を認めることもあります。
協議によって解雇が撤回される場合も、それまでのしこりから、実際には従業員が勤務を継続するのは難しいものです。
そのようなケースでは、解雇を無効として契約期間の賃金を補償し、退職金も正当に支払い、従業員に与えた精神的苦痛に対する慰謝料を補償することで、円満退社という扱いにすることが多いものです。
その際には、従業員にはトラブルに関する守秘義務を課し、以後には追加請求をしないことを明確に誓約させる示談書を作成しておくべきでしょう。
不当解雇の精神的損害に対する慰謝料としては、その期間や内容によっても異なりますが、事例として東京地裁の平成4年3月30日判決(判時1421-129)等が参考になります。
この件では、整理解雇の無効を訴えた原告が500万円の慰謝料を請求し、解雇無効が認められましたが、慰謝料は50万円が認容されました。