強制わいせつや強姦の示談と慰謝料

強制わいせつや強姦は刑事犯となり、被害者の女性が刑事告訴を行えば、加害者は刑事上の責任を問われます。
同時に民事でも、民法の不法行為規定(民法709条・710条)に基づき、被害者は慰謝料を請求することができます。

単発の痴漢やセクハラ等の強制わいせつ(または準強制わいせつ)については、加害者が謝罪の意思を示し、被害者が和解に応じる場合は、慰謝料額については概ね30~50万円位の分布が多く、100万円以下で話し合いをつけるケースが目立ちます。
(セクハラ行為が長期間継続するような案件は、100万円以上となることも多いです。)

示談が成立したことを警察や検察に届け出れば、減刑の検討がされることも多いようです。

 

一方、強姦については、民事の慰謝料額も100万円以下というケースは稀で、100~200万円位の分布が多いようです。
中には500万円というような高額の事例もあります。
強姦に関しては、警察・検察も対処が厳しく、民事の示談が成立しない場合は、特に厳刑となる傾向があるようです。
(以上の慰謝料額分布の傾向については「慰謝料算定の実務」千葉県弁護士会編 より)

 

強制わいせつも強姦も、被害者が告訴をしなければ刑事処分の対象とならない親告罪(刑法180条1項)なので、警察に届け出る前に当事者で協議をして、示談を成立させて刑事告訴をしないという解決事例は多いです。
被害者も事件を公にするより、誠意を尽くした謝罪を受け、通常よりは高額な慰謝料を受領する方が実益があるとの判断です。

但し、強制わいせつや強姦について、加害者が二人以上で共同で行った場合は、親告罪の対象とはなりません。(刑法180条2項)
そのようなケースでは、刑事事件として公訴され、厳刑処分の対象となります。
当然ながら、加害者は民事でも誠意を尽くして謝罪し、被害者の精神的損害を償うべきです。

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