会社が従業員を解雇する場合には、労働基準法に沿った手続が必要となります。
具体的には、労働基準法第20条に基づいて「解雇する30日前に解雇予告をするか、または30日分以上の平均賃金を解雇予告手当てとして支払う」必要があります。(但し、天災事変や止むを得ない事情で事業の継続ができなくなった場合で、労働基準監督署の除外認定を受けた場合は、この限りではありません。)
また、従業員が解雇の理由を明示するように求めた場合は、同法第22条により会社は解雇事由の証明書を発行する義務が生じます。
上記の手続を経たとしても、会社は解雇の権利を濫用することは許されません。
労働基準法第18条の2には「合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と規定されています。
一度は会社が解雇を通知したものの、その後の協議で不当解雇であったことを認め、解雇を撤回するようなケースもあるでしょう。
その場合には、従業員が就業していなかった期間について、未払い賃金が支払われることになります。会社としては、労働力の提供を受けていないにも関わらず、賃金を支払うことになります。
問題は、その未払い賃金の他に、慰謝料を認めるかどうかです。
不当解雇に至るまでに、従業員に対して精神的苦痛を与えたり、名誉毀損の事実があれば、判例でもそれが不法行為にあたると認め、慰謝料を認容したケースはあります。
慰謝料額については、不法行為の程度や期間によって異なります。
協議によって慰謝料額について決定できない場合は、訴訟ということになります。