セクシャル・ハラスメント(セクハラ)とは、雇用上の関係を利用して行われる相手の意に反する性的な言動ですが、もっと広く解釈して、雇用関係を問わず、相手の意に反する性的な言動と捉えることもあります。
以下にセクハラに関する数件の判例を見てみます。
入社後間もない女性に対し、「したことないねんなあ。処女か」「AVのビデオ見たことあるか」「わし、あんたが欲しいねん」などと言って、社長がホテルへ誘うなどした。
女性は150万円を請求し、50万円が認容された。
(平7・8・29大阪地判 判タ893-203)
職務上の懇親会の後、自らの性器を露出させた校長が、女性教師の手を無理矢理つかんで性器にこすりつけた。
女性教師は300万円を請求し、50万円が認容された。
(平8.4・15東京地八王子支判 判タ924-237)
会社社長が女性従業員に対して、継続的に後ろから抱きついたり、スカート内に手を入れたりして、料理屋で酒を飲ませモーテルへ連れ込み姦淫した。
その後、女性従業員は退職を余儀なくされた。
女性従業員は300万円を請求し、300万円が認容された。
(平10・3・6千葉地判 判タ1026-240)
修士論文の指導をする助教授が、女子大学院生に対し関係を迫り、三回に渡ってホテルで肉体関係まで結ばせた。
女子大学院生が関係を拒絶すると、露骨な報復行為をした。
女子大学院生は1,000万円を請求し、750万円が認容された。
(平11・5.24仙台地判 判タ1013-182)
判例の傾向としては、従属的関係にある相手に無理矢理に姦淫をした事例には、高額な慰謝料を認容しています。
一方で、性交渉に至らない言葉や接触止まりのセクハラ行為に関しては、50万円~100万円程度の認容額となっています。
継続性のない言葉や接触のみのセクハラ行為に関しては、更に低額になるものと思われます。
セクハラ事件について、示談で解決を図る場合には、以上のような金額が一つの目安となるでしょう。