慰謝料を支払ってもらえない場合の対策
傷害事件などの被害者になって、加害者に対して治療費や慰謝料などの損害賠償請求をしても、なかなか支払ってもらえないというトラブルは多く発生しています。
民法では、暴行や傷害などの不法行為によって損害を受けた場合は、加害者に対してその損害について賠償請求ができることになっています。
暴行に対して暴行で応じることは禁止されているので、治療費などの損害を金銭に置き換えて損害賠償請求を行うことになります。
つまり、慰謝料などの損害賠償金を支払うのは加害者の義務になるのですが、それを果たさない加害者には2通りのパターンがあります。
1つは、加害者が自分の非を認めずに反省していないケースです。
傷害事件に発展するには、その前段階として口論になることが多く、被害者にも落ち度があるような場合は、加害者は感情的に納得できず慰謝料の支払いに応じないことがあります。
また、加害者が精神的に未熟であったり、義務を果たさなければ裁判所を通じた強制手続まで発展することを理解できないという面もあります。
このような加害者に対しては、被害者に損害を与えた事実を認識させ、損害賠償金の支払いに応じなければ裁判手続を検討することを予告して請求をすることになります。
ただし、あまりに高圧的に請求をすると反発をされて無視をされる可能性はあります。
こうした請求には内容証明郵便を活用することが多いのですが、内容証明郵便自体には何の強制力もありません。
ただ、請求をした事実のみを公的に証明できるだけです。
請求の際に、慰謝料の金額や(分割などの)支払い方法で譲歩する余地を示しながら、現実的な金額で話をまとめる姿勢が求められます。
こうした手順を踏んで交渉をしても解決しない場合は、裁判を覚悟する段階となります。
加害者が慰謝料の支払いに応じないもう1つのパターンは、加害者に資産が全く無いケースです。
これは裁判を行っても、裁判自体には勝てたとしても、結局は金銭を得ることはできません。
財産を持たない相手からは回収するのは事実上不可能です。
ただし、加害者が定職に就いているなら、その給与から分割で支払いをさせることは可能です。
一括支払いが希望であっても、財産が無いところからは回収できないので、給与からの分割返済を強制させるように手続をする必要があります。
(話し合いが可能なら、公正証書の作成をするのが最適です。)
加害者が宅建業者や、税理士などの士業の場合は、傷害事件や禁固以上の刑罰が職業上の欠格事由になるので、刑事告訴をしないことを示談の条件とすれば、慰謝料の支払いも応じやすいという傾向もあります。
警備業や金融業なども同様です。セクハラや強制わいせつなどの性犯罪に関しては、教員や公務員なども同じ理由で示談は成立しやすいといえるでしょう。
こうした事件を早期に解決し、後で問題が起きないようにするには示談書の作成が必要です。
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