示談書を作成するポイントとしては、事実関係を簡潔にまとめて、和解するための条件を明確に記し、違反した場合の罰則も定めておくことです。
重要なのは、あまりに一方的な内容にするのは避けて、互いにメリットがある内容にすることです。相手方に対する厳しい要求だけを求めるものだと、反発をされて同意を得られなくなるリスクも高くなります。
客観的な事実関係のみを記載し、相手の懸念も考慮した条項を設けた方が示談書の締結手続が早く進みます。
その上で自分の要望はしっかりと記載しておく必要があります。
示談書の書き方としては、特に法令で指定されているものではなく、以下のポイントを押さえて文書化するとよいでしょう。
表題について
「示談書」「合意書」「誓約書」「協議書」など様々な表題がありますが、表題の違いによって法的効力に影響することはありません。
どのような表題にしてもよいのですが、当サイトでは「示談書」という表記にしております。
契約当事者の表示
自分と相手方の住所と氏名を表示します。
住所と氏名は住民票に記載されているものを記載します。
事件の概要
トラブルの発生日時(または期間)、場所、加害者の行為内容、被害者の被害状況を簡潔にまとめて書きます。
あまりに詳細に書き過ぎると相手方との認識の違いが生じて混乱するリスクが高くなり、だからといって重要事項に漏れがあると証拠能力が弱くなってしまいます。
必要な事項を要領よくまとめて文章化する必要があります。
和解条項
加害者側が責任を認めて謝罪し、損害賠償を誠実に行うことを条件として被害者側が和解に応じることを記載します。
損害賠償責任の承認
トラブルを解決するための条件として、加害者が被害者に対して支払う損害賠償金の金額を定めます。
損害賠償金の支払い方法
一括払いか分割払いか等の支払い方法を定めます。
一括払いの場合は、支払期日と支払い方法(現金受け渡しか銀行送金など)を記載します。
分割払いの場合は、分割回数、分割金額、支払い日、支払い方法を記載します。
また、支払い遅延を起こさないように、予防対策として遅延損害金の規定を置く場合もあります。
迷惑行為防止
いわゆるお礼参りやトラブル再発、ストーカー行為、風評流布など、事後に懸念される行為を禁止する規定を設けます。
刑事告訴
刑事事件の場合は、被害届や刑事告訴の扱いについて規定します。
不倫などの民事トラブルについては、刑事事件では無いのでこうした規定は不要です。
守秘義務
トラブルの内容について、相互ともに第三者へ口外しないことを誓約します。
違反時の罰則
示談書に定めた規定に違反があった場合の罰則(罰金等)を予め定めておき、互いに契約内容を誠実に履行することを求めます。
締結日付
示談書に署名と捺印をする日付を記入します。
この日付の時点から契約内容が有効となります。
署名と印鑑について
署名は本人の直筆で行います。
消すことができないボールペンを使用します。
印鑑は朱肉を使うもので捺印します。
高額な賠償金を支払う場合などは実印を使用し、相互に印鑑登録証明書を添付するようにします。
以上の内容を文書化すれば、当事者間の合意事項として法的にも有効な文書として認められます。
ただし、あまりにも一方的な内容を記載した場合には、その部分は公序良俗違反と判断されて無効という扱いを受けることもあります。
損害賠償貴の世間相場や一般的な妥当性を意識して条件を定める努力が必要です。