不倫や傷害事件、窃盗や横領など、トラブルが発生した場合には、慰謝料や損害賠償金を支払うことで解決を図る事例は多いものです。
そうした慰謝料などが一括支払いされる場合は解決も早いのですが、加害者側に経済的余裕が無く、分割支払いしか対応が出来ないケースもよくあります。
そのような慰謝料の支払いが長期になる場合には、途中であいまいにされないために公正証書を作成しておく必要があります。
(慰謝料が早期に一括払いされる見込みがあれば、公正証書まで作成しなくても、当事者間で交わす示談書だけで十分です)。
公正証書とは、金銭の支払いに関する契約について、期限までに支払いがされなかった場合に、裁判を経ることなく差押えが可能になる強力な契約書のことです。
ただ、公正証書は被害者だけでは作成できるものでは無く、相手方の加害者の同意と協力が絶対に必要です。
被害者の立場としては、早く慰謝料の支払い条件を定めて、すぐに公正証書を作成して支払いを開始してほしいところです。
しかし、加害者が無責任であったり、支払いから逃げようとする姿勢が見える場合には、公正証書を作成する手続にも同意をしなくて協力もしないことがあります。
そのような加害者は、いろいろと言い逃れをしていれば被害者が請求をあきらめると思っているのかもしれません。
それでは被害者の泣き寝入りになってしまいます。
被害者とは気の毒な立場ですから、警察や公的機関が助けてくれるという期待もしたいところですが、現実は厳しいものです。
警察は刑事事件の対象になることは捜査してくれますが、それはあくまで加害者に刑事処分を負わせるためであって、民事の慰謝料請求には一切関与しないのが前提になります。
つまり、慰謝料や損害賠償金を請求して、それを支払わせるための手続は被害者本人が行わなくてはなりません。
公正証書の作成も支払いをさせるための手続ですから、それを提案して相手を説得し、作成についての実務を進めていくのは被害者が主導する必要があります。
そこで、逃げ腰の加害者に対しては、心を鬼にして強い態度で交渉をしなくてはなりません。
言い逃れしていれば大丈夫とナメられたら、慰謝料はいつまで経っても支払われません。
この段階で加害者に言うべきことは、
「今すぐ損害賠償金を支払うことが和解の条件です。
お金が無いのなら分割払いも認めるけれど、それは公正証書を作成するのに協力するのが条件です。」
こうした二者択一の選択を強く迫り、公正証書の作成に誘導することです。
それでも言い逃れしようとする場合には、トドメの一撃が必要です。
「今月中に公正証書の完成ができないなら、もう待てないから裁判手続をする。
その場合は遅延損害金や裁判費用も請求するし、銀行口座の差押えも容赦なくするよ。」
刑事対象となる事件の場合には、次のような通告も有効です。
「一括払いも公正証書作成もできないというなら、謝罪の意思は無いとみなすしかないですね。
それなら警察や検察に対して厳重な処分を望むことを上申します。」
この一言は本気で言わなくてはなりません。
どうせハッタリだろうと思われたら、足下を見られて逃げられます。
それでも言い逃れされるようなら、本当に裁判手続を決意して下さい。
(裁判前提の相談は、当行政書士事務所では対応できないので、弁護士に依頼して下さい)。
あなたの本気が相手に通じたら、公正証書を作成するという同意が得られることでしょう。
相手が同意をしたら、ここで時間を空けてはいけません。すぐに公正証書の作成に着手する必要があります。
まずは市役所で印鑑登録証明書を取得させて下さい。放っておくと取得しない危険性を感じるときは、市役所まで同行することも考えなくてはいけません。
そこから公証役場に依頼して手続をすることになります。
公証役場は平日にしか対応してもらえないため相手方との同行が難しい場合や、相手方が遠方に住んでいて予定を合わせるのが難しい場合は、委任状を作成して行政書士に代理作成を依頼するという方法もあります。
相手方が約束をドタキャンするような人物の場合は、委任状を作成することを前提にして代理作成を依頼した方がスムーズに進みます。
こうした示談書や公正証書の作成を検討される場合は、実績豊富な当行政書士事務所にご依頼下さい。